MMEMory Subsystem - STATe and PREFerence Files

これらのMMEMoryサブシステム・コマンドは、測定器ステート(ステート・ファイル)と、不揮発性パラメータの必要な設定(設定ファイル)を、保存およびロードします。 一般的に、ステート・ファイルには測定に関連する揮発性設定が保存されます。 設定は、特定の測定ではなく測定器に関連する不揮発性パラメータです。 次の表に、各ファイルに含まれる情報をまとめます。

ステート・ファイル 設定ファイル

アクティブな測定機能

レンジ

積分時間/分解能(NPLC)

オートレンジ

オート・ゼロ

オート・インピーダンス(入力Z)

AC帯域幅

トリガおよびサンプル設定

演算設定(イネーブル、ヌル値、リミットなど)

ステータス・ビットのデータしきい値

VM Compのスロープ(電圧計完了)

温度単位

デフォルト・ファイル・システム・ディレクトリ

ディスプレイの選択と設定(数値、メータ、ヒストグラム、トレンド・チャートなど)

数値フロント・パネルの桁マスク

DBM基準抵抗

I/Oイネーブル、アドレス、設定、mDNS設定

ディスプレイ輝度

スクリーン・セーバ・イネーブル、輝度

数値区切り文字(カンマ、スペース、なし)および小数点記号

ビープ音、およびキー・クリック音イネーブル

ヘルプ言語

電源投入時ステータス・クリア・イネーブル、ステータス・イネーブル、遷移フィルタ

電源投入時ステート(*RST、ユーザ定義、前回)

SCPI ID(*IDNによって返された文字列)

電源投入時メッセージ・テキスト

カラー・スキーム(A/B)

ラベル・イネーブル、テキスト

MMEMoryサブシステムには、その他にも次の2種類のコマンドが含まれます。

汎用ファイル管理

データ転送

コマンドの概要

MMEMory:LOAD:PREFerences

MMEMory:STORe:PREFerences

MMEMory:LOAD:STATe

MMEMory:STORe:STATe

MMEMory:STATe:RECall:AUTO

MMEMory:STATe:RECall:SELect

MMEMory:STATe:VALid?

フォルダとファイルの形式

多くのMMEMoryコマンドでは、フォルダおよびファイルが参照されます。 フォルダおよびフォルダは、特定の構造を持ちます(以下を参照)。

<folder>の形式

<file>の形式

大容量メモリ(MMEMory)およびステート記録

フロント・パネルでは、MEMサブシステムではなくMMEMサブシステムを使用して、ステートを保存します。 フロント・パネルでステートを保存する場合、SCPIでもステートにアクセスできます。 ただし、*SAVでMEMサブシステムに保存されたステートは、フロント・パネルからは取得できません。

例えば、測定器を目的に合わせて設定し、USBドライブをフロント・パネルに挿入します。 その後、次のコマンドを入力します。 USBドライブがない場合、"USB:\"を"INT:\"に変更して、測定器の内部フラッシュ・ドライブを代わりに使用します。

MMEMory:CDIRectory "USB:\"
MMEMory:MDIRectory "States"
MMEMory:STORe:STATE "USB:\States\State1"

いつでもこのステートに戻すことができます。次のコマンドを入力します。

MMEMory:LOAD:STATE "USB:\States\State1"

[Utility] > [Store/Recall]を押すことにより、フロント・パネルからステート・ファイルをリコールすることもできます。

MMEMory:LOAD:PREFerences <file>

MMEMory:STORe:PREFerences <file>

LOAD: 測定器を再起動して、ファイルから不揮発性I/O設定とユーザ設定をロードします。 指定したファイルを空にする、あるいはシステム・フォルダまたは隠しフォルダにすることはできません。
STORE: 不揮発性I/O設定とユーザ設定をファイルに保存します。 保存先のファイルが存在する場合、隠しファイルまたはシステム・ファイルとして設定されていても、ファイルは上書きされます。

注意

スタティックIPアドレスを指定する設定をロードする際には、LAN上に同じIPアドレスを持つ測定器が2つ生じないように注意してください。 この場合、両方の測定器でLAN設定エラーが発生する可能性があります。


パラメータ 代表的な戻り値
任意の有効なファイル名
.prfファイル拡張子は省略可能です。 この拡張子を含めない場合、測定器のファームウェアにより、この拡張子は自動的に追加されます。

(なし)

現在の不揮発性I/O設定とユーザ設定を指定されたファイルに保存します。
MMEM:STOR:PREF "INT:\MyPreferences"

不揮発性I/O設定とユーザ設定を指定されたファイルからロードします。
MMEM:LOAD:PREF "INT:\MyPreferences"

MMEMory:LOAD:STATe <ファイル名$$$でーたろがー:ふぁいるめい>

MMEMory:STORe:STATe <ファイル名$$$でーたろがー:ふぁいるめい>

ステート・ファイルから測定器ステートをロードしたり、現在の測定器ステートをステート・ファイルに保存したりします。 ファイル名には、必要に応じてフォルダ名や.staファイル拡張子を含めます。 この拡張子を含めない場合、測定器のファームウェアにより、この拡張子は自動的に追加されます。

パラメータ 代表的な戻り値
任意の有効なファイル名

(なし)

現在の測定器ステートを、内部フラッシュ・ファイル・システムのルート・ディレクトリにある指定されたステート・ファイルに保存します。
MMEM:STOR:STAT "INT:\MySetup"

1つ前のコマンドにより保存されたMySetup.staから、測定器ステートをロードします。
MMEM:LOAD:STAT "INT:\MySetup.sta"

MMEMory:STATe:RECall:AUTO {ON|1|OFF|0}
MMEMory:STATe:RECall:AUTO?

保存されている特定の測定器ステートの、電源投入時の自動リコールをオン/オフします。 オンを指定すると、電源オフ時ステート・ファイル(内部フラッシュ・ファイル・システムのルート・フォルダにあるSTATE_0)、またはユーザ指定ステート・ファイル(MMEMory:STATe:RECall:SELect)が自動的にリコールされます。 オフを選択すると、電源投入時に工場リセット(*RST)を発行します。

パラメータ 代表的な戻り値
{ON|1|OFF|0}、デフォルトはON 0  (OFF) または 1 (ON)

電源投入時に使用する電源オフ時のステートを選択します。

MMEM:STAT:REC:SEL "INT:\STATE_0"

MMEM:STAT:REC:AUTO ON

次のように指定すると、内部フラッシュ・ファイル・システムのルート・ディレクトリのファイルに現在のステートが保存され、電源投入時にロードされます。
MMEM:STOR:STAT "INT:\MyVoltMeas"
MMEM:STAT:REC:SEL "INT:\MyVoltMeas"
MMEM:STAT:REC:AUTO ON

MMEMory:STATe:RECall:SELect <file>
MMEMory:STATe:RECall:SELect?

自動リコール・モードがオン(MMEMory:STATe:RECall:AUTO ON)の場合に、電源投入時にどの測定器ステートを使用するかを選択します。 自動リコール・モードがオフ(MMEMory:STATe:RECall:AUTO OFF)の場合には、電源投入時に工場リセット(*RST)を発行します。

パラメータ 代表的な戻り値
任意の有効なファイル名 "INT:\MyVoltMeas"

電源投入時に使用する電源オフ時のステートを選択します。

MMEM:STAT:REC:SEL "INT:\STATE_0"

MMEM:STAT:REC:AUTO ON

次のように指定すると、内部フラッシュ・ファイル・システムのルート・ディレクトリのファイルに現在のステートが保存され、電源投入時にロードされます。
MMEM:STOR:STAT "INT:\MyVoltMeas"
MMEM:STAT:REC:SEL "INT:\MyVoltMeas"
MMEM:STAT:REC:AUTO ON

MMEMory:STATe:VALid? <file>

指定されたステート・ファイルが存在し、有効なステート・ファイルが含まれる場合に、1を返します。 それ以外の場合、0を戻します。

パラメータ 代表的な戻り値
任意の有効なファイル名 1

内部フラッシュ・ファイル・システムのルート・フォルダにあるMyState.staのステータスを返します。

MMEM:STAT:VAL? "INT:\MyState.sta"