MMEMoryサブシステムは、測定器内のファイル・システムまたは外部USBファイル・システムを管理します。ファイル・システムは複数のファイル・フォーマットで保存およびロードできます。
測定器内の「INT:\」フラッシュ・メモリ・ファイル・システムは常に存在します。USBファイル・ストレージ・デバイス(フラッシュ・ドライブ、サム・ドライブ、またはジャンプ・ドライブと呼ばれる場合もある)は、フロント・パネルのUSBポートに差し込まれ、測定器には「USB:\」と表示されます。
次のコードは以下のシーケンスを生成します。 読みやすくするため、長い形式のDATA:SEQuenceコマンドを複数行に分割しています。
FUNC:ARB:SRATE 10E3
FUNC:ARB:FILTER OFF
FUNC:ARB:PTPEAK 10
DATA:ARB dc_ramp, 0.1, 0.1, 0.1, 0.1, 0.1, 0.2, 0.4, 0.6, 0.8, 1.0
DATA:ARB dc5v, 1.0, 1.0, 1.0, 1.0, 1.0, 1.0, 1.0, 1.0, 1.0, 1.0
DATA:ARB dc2_5v, 0.5, 0.5, 0.5, 0.5, 0.5, 0.5, 0.5, 0.5, 0.5, 0.5
DATA:ARB dc0v, 0.0, 0.0, 0.0, 0.0, 0.0, 0.0, 0.0, 0.0, 0.0, 0.0
DATA:SEQuence #3128"seqExample","dc_ramp",0,once,highAtStart,5,"dc5v",2,repeat,maintain,5,
"dc2_v",2,repeat,lowAtStart,5,"dc0v",2,repeat,maintain,5
FUNC:ARB dc_ramp
MMEM:STORE:DATA "INT:\dc_ramp.arb"
FUNC:ARB dc5v
MMEM:STORE:DATA "INT:\dc5v.arb"
FUNC:ARB dc2_5v
MMEM:STORE:DATA "INT:\dc2_5.arb"
FUNC:ARB dc0v
MMEM:STORE:DATA "INT:\dc0v.arb"
FUNC:ARB seqExample
MMEM:STORE:DATA "INT:\seqExample.seq"
DATA:VOL:CLEAR <--- erase all waveforms to show LOAD will restore all waveforms
MMEM:LOAD:DATA "INT:\seqExample.seq"
FUNC ARB
FUNC:ARB "INT:\seqExample.seq"
OUTPUT ON
seqExample.seqファイルを以下に示します。
File Format:1.10
Sample Rate:10000.000000
High Level:5.000000
Low Level:0.000000
Filter:"off"
Header:Arb Name, Repeat Count, Play Control,Marker Mode, Marker Point
dc_ramp.arb,1,"once","highAtStart",5
dc5v.arb,2,"repeat","maintain",5
dc2_5v.arb,2,"repeat","lowAtStart",5
dc0v.arb,2,"repeat","maintain",5
MMEMoryサブシステムには以下のコマンドおよび問合せが含まれています。
MMEMory:CATalog[:ALL]?[<フォルダ>] - 大容量メモリ・デバイス上の利用可能および使用済みのディスク領域とファイルを一覧表示します。
MMEMory:CATalog:DATA:ARBitrary?[<フォルダ>] - 大容量メモリ・デバイス上の任意波形とシーケンスを一覧表示します。
MMEMory:CATalog:STATe?[<フォルダ>] - 大容量メモリ・デバイス上にある利用可能および使用済みのディスク領域およびステート(*.sta)ファイルを一覧表示します。
MMEMory:CDIRectory <フォルダ> - ディレクトリに移動します。
MMEMory:CDIRectory?
MMEMory:COPY <ファイル1>,<ファイル2> - 大容量メモリ・デバイス上のファイルをコピーします。
MMEMory:COPY:SEQuence <ソース>,<宛先> - 大容量メモリ・デバイス上のシーケンスと、それに関連付けられた任意波形をコピーします。
MMEMory:DELete <ファイル> - 大容量メモリ・デバイスからファイルを削除します。
MMEMory:DOWNload:DATA <バイナリ・ブロック> - ホスト・コンピュータから測定器の大容量メモリにデータをコピーします。
MMEMory:DOWNload:FNAMe <ファイル名> - コンピュータから測定器の大容量メモリにデータをダウンロードするためのファイル名を指定します。
MMEMory:LOAD:ALL <ファイル名> - 測定器ステート・ファイルをロードします。
MMEMory:LOAD:DATA[1|2] <ファイル名> - 任意波形をファイルからロードします。
MMEMory:LOAD:LIST[1|2] <ファイル名> - ファイルから周波数リストをロードします。
MMEMory:LOAD:STATe <ファイル名> - 保存されている測定器ステートをファイルからロードします。
MMEMory:MDIRectory <フォルダ> - 新しいディレクトリ(フォルダ)を作成します。
MMEMory:MOVE <ファイル1>,<ファイル2> - 大容量メモリ・デバイス上でファイルを移動します。
MMEMory:RDIRectory <フォルダ> - ディレクトリを削除します。
MMEMory:STORe:ALL <ファイル名> - 測定器ステート・ファイルを保存します。
MMEMory:STORe:DATA[1|2] <ファイル名> - 任意波形をファイルに保存します。
MMEMory:STORe:LIST[1|2] <ファイル名> - アクティブな周波数リストをファイルに保存します。
MMEMory:STORe:STATe <ファイル名> - 測定器ステートをステート・ファイルに保存します。
MMEMory:UPLoad? <ファイル名> - 測定器からホスト・コンピュータへファイルの内容をアップロードします。
MMEMoryの多くのコマンドがフォルダおよびファイルを参照します。これらには、以下に説明する固有の構造があります。
フロント・パネルは、MEMサブシステムではなく、MMEMサブシステムを使用してステートを保存します。フロント・パネルでステートを保存した場合も、SCPIでアクセスできます。ただし、*SAVを使用し、SCPI経由でMEMサブシステムに保存したステートはフロント・パネルから取得できません。
例えば、測定器を必要に応じて設定し、フロント・パネルにUSBドライブを差し込みます。次に、以下のコマンドを入力します。USBドライブがない場合は、「USB:\」から「INT:\」に変更し、測定器の内部フラッシュ・ドライブを使用します。
MMEMory:CDIRectory "USB:\"
MMEMory:MDIRerctory "States"
MMEMory:STORe:STATE "USB:\States\State1"
任意のタイミングでこのステートに戻るには:
MMEMory:LOAD:STATE "USB:\States\State1"
[System]>[Store/Recall]を押して、フロント・パネルからステート・ファイルをリコールすることもできます。
内部ストレージおよびUSBドライブを含め、現在の大容量ストレージ・ディレクトリ内にあるすべてのファイルのリストを返します。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
任意の有効なフォルダ名。デフォルトは、MMEMory:CDIRectoryによって選択されたフォルダ。 | +1000000000,+327168572, "command.exe,,375808", "MySetup.sta,STAT,8192", "MyWave.csv,ASC,11265" |
フロント・パネルのUSBストレージ・デバイスにあるMyDataフォルダ内のすべてのファイルを一覧表示: MMEM:CAT?"USB:\MyData" |
任意シーケンス(.seq)のファイルおよびフォルダすべてと、フォルダ内の任意波形(.arb/.barb)ファイルのリストを返します。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
任意の有効なフォルダ名。デフォルトは、MMEMory:CDIRectoryによって選択されたフォルダ。 | (以下を参照) |
次の問合せは、内部メモリのBuiltInディレクトリの任意波形およびシーケンスのすべてのファイルを一覧表示します。 MMEM:CAT:DATA:ARBitrary?"INT:\BuiltIn" 代表的な応答: |
フォルダ内のすべてのステート・ファイル(ファイル拡張子.sta)を一覧表示します。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
任意の有効なフォルダ名。デフォルトは、MMEMory:CDIRectoryによって選択されたフォルダ。 | +1000000000,+327168572,"MySetup.sta,STAT,8192" |
フロント・パネルのUSBドライブにあるMyDataフォルダ内のすべてのステート・ファイルを一覧表示: MMEM:CAT:STAT?"USB:\MyData" |
MMEMory:CDIRectoryでは、MMEMoryサブシステム・コマンドのデフォルト・フォルダを選択します。このフォルダは必ず存在しなければならず、フォルダ名またはファイル名にドライブ名およびフォルダ名が含まれていない場合に使用されます。
MMEMory:MDIRectoryは大容量ストレージ・メディア上に新しいディレクトリ(フォルダ)を作成します。
MMEMory:RDIRectoryは大容量ストレージ・メディア上のディレクトリ(フォルダ)を削除します。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
大容量ストレージ・ユニット指定子を含むディレクトリ名、デフォルトはINT:\ | "INT:\" |
内部大容量メモリ・システム上に「test」という名前の新しいディレクトリを作成し削除: MMEMoryサブシステム・コマンドのデフォルト・フォルダを返す: |
<file1>から<file2>にコピーします。 ファイル名には拡張子を含める必要があります。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
どちらのファイルにも、任意の有効なファイル名を使用できます。 |
(なし) |
ステート・ファイルMyFreqMeas.staをルート・ディレクトリから内部フラッシュ・ファイル・システム上のフォルダ「Backup」にコピー: MMEM:COPY "INT:\MySetup.sta","INT:\Backup" |
シーケンスを<source>から<destination>にコピーします。ファイル名には拡張子を含める必要があります。テキスト・フォーマットには、拡張子.seqを使用します。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
<source>および<destination>には、任意の有効なシーケンス・ファイル名を使用できます。 | (なし) |
シーケンス・ファイルMySequence.seqと、その中で指定されているすべての関連セグメント・ファイルを、内部ドライブから内部ストレージのフォルダ「Backup」にコピー: MMEM:COPY:SEQ "INT:\MySequence.seq","INT:\Backup" |
ファイルを削除します。フォルダを削除するにはMMEMory:RDIRectoryを使用します。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
任意の有効なファイル名。ファイル拡張子を含みます。 | (なし) |
指定したファイルを、内部フラッシュ・ファイル・システムのルート・ディレクトリから削除: MMEM:DEL "INT:\MySetup.sta" |
ホスト・コンピュータから、測定器のファイルにデータをダウンロードします。ファイル名はMMEMory:DOWNload:FNAMeによって以前指定したものである必要があります。
<binary_block>内のデータが選択ファイルに書き込まれ、以前ファイルに保存されたデータは失われます。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
IEEE-488有限ブロックまたは無限ブロック | (なし) |
単語「Hello」を内部ストレージのファイル「\Myfile」に書き込む: MMEM:DOWN:FNAM "INT:\Myfile" MMEM:DOWN:DATA #15Hello |
MMEMory:DOWNload:DATAを使用して指定したファイルにデータを書き込む前に、そのファイルを作成するか開きます。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
任意の有効なファイル名 |
(なし) |
単語「Hello」を内部フラッシュ・ファイル・システムの「\Myfile」に書き込む: MMEM:DOWN:FNAM "INT:\Myfile"MMEM:DOWN:DATA #15Hello |
大容量ストレージ上の指定したファイルを使用して、測定器のセットアップ全体をロードまたは保存します。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
現在の大容量ストレージ・ディレクトリ上の任意の有効なファイル名 | (なし) |
内部ストレージにある「completeSetup.all」という名前のファイルに測定器のセットアップを保存: 内部大容量メモリ内のファイルから測定器のセットアップ全体をロードします。 |
INTERNALまたはUSBメモリ内の指定した任意セグメント(.arb/.barb)または任意シーケンス(.seq)ファイルを、指定したチャネルの揮発性メモリにロードします。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
任意の有効なファイル名。下記のとおりです。 |
(なし) |
任意波形セグメントを内部ドライブからチャネル1用の揮発性メモリにロードし、使用できるように選択します。 |
周波数リスト・ファイル(.lst)をロードまたは保存します。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
大容量メモリ・デバイス上の任意の有効なファイル名 |
(なし) |
現在の周波数リストを内部ストレージ上のLISTファイルに保存: 内部ストレージ大容量メモリ・システム上のLISTファイル(FreqList.lstという名前のファイル)をロード: |
3, 100.000000, 1000.000000, 550.000000
現在の測定器ステートをステート・ファイルに保存します。ファイル名にはオプションでフォルダ名と.staファイル拡張子が含まれています。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
現在のディレクトリ上の任意の有効なファイル名 |
(なし) |
現在の測定器ステートを内部フラッシュ・ファイル・システムのルート・ディレクトリのステート・ファイルMySetup.staに保存: MMEM:STOR:STAT "INT:\MySetup.sta" 測定器ステートを内部ストレージのルート・ディレクトリのMySetup.staからロード: MMEM:LOAD:STAT "INT:\MySetup.sta" |
<file1>を<file2>に移動、または名前変更します。ファイル名には拡張子を含める必要があります。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
どちらのファイルにも、任意の有効なファイル名を使用できます。 | (なし) |
ステート・ファイルMySetup.staを現在選択されているデフォルト・ディレクトリから内部フラッシュ・ファイル・システムの「Backup」へ移動: USBドライブ上の任意波形arbMondayの名前をarbTuesdayに変更: |
指定した任意セグメント(.arb/.barb)または任意シーケンス(.seq)のデータをINTERNAL内のチャネル指定による揮発性メモリ(デフォルトはチャネル1)、またはUSBメモリに保存します。
パラメータ | 代表的な戻り値 |
---|---|
任意の有効なファイル名 |
(なし) |
チャネル1の揮発性メモリにロードされた任意波形を内部ドライブに保存します。MMEM:STOR:DATA "INT:\Sequence1.seq" |