VOLTageサブシステムの概要
VOLTageサブシステムは、出力電圧に関連するパラメータを設定します。
例
VOLTageサブシステムの一般的な使用手順を以下に示します。
- 波形形状、振幅、およびオフセットを選択します: APPLyまたは同等のFUNCtion、FREQuency、VOLTage、およびVOLTage:OFFSetコマンドを使用して、関数、周波数、振幅、およびオフセットを選択します。
- 出力振幅の単位を設定: VOLTage:UNIT
- 出力振幅を設定: VOLTage
- DCオフセット電圧を設定: VOLTage:OFFSet
- 電圧の高低レベルを設定: VOLTage:HIGH、VOLTage:LOW
- 被試験デバイス(DUT)を保護するための出力電圧限界値を選択: VOLTage:LIMit:HIGH、VOLTage:LIMit:LOW、VOLTage:LIMit:STATe
- すべての出力関数のオートレンジのステータスを選択: VOLTage:RANGe:AUTO
- チャネルの振幅およびオフセットを一緒にロックする電圧結合を設定(2チャネル測定器のみ): VOLTageLCOUPle[:STATe]
上述の手順を次の例で説明します。
SOURce1:FUNCtion SQU
SOURce1:FREQuency +1.0E+06
SOURce1:VOLTage +0.5
SOURce1:VOLTage:OFFSet +0.5
SOURce1:FUNCtion:SQUare:PERiod +1.0E-06
SOURce1:FUNCtion:PULSe:PERiod +1.0E-06
SOURce1:VOLTage:LIMit:LOW +0.0
SOURce1:VOLTage:LIMit:HIGH +1.0
SOURce1:VOLTage:LIMit:STATe 1
OUTP1 ON
SOURce2:FUNCtion SIN
SOURce2:FREQuency +1.0E+06
SOURce2:VOLTage +2.0
SOURce2:VOLTage:OFFSet +0.0
SOURce2:VOLTage:LIMit:LOW -1.0
SOURce2:VOLTage:LIMit:HIGH +1.0
SOURce2:VOLTage:LIMit:STATe 1
OUTP2 ON
[SOURce[1|2]:]VOLTage {<振幅>|MINimum|MAXimum|DEFault}
[SOURce[1|2]:]VOLTage? [{MINimum|MAXimum}]
出力振幅を設定します。
1 mVpp~波形とモデルで使用できる最大値、デフォルトは100 mVpp |
+5.0000000000000E+00 |
出力振幅を5 Vppに設定: VOLT 5 Vpp |
- オフセット電圧と出力振幅との関係を以下に示します。Vmaxは、選択された出力終端の最大ピーク電圧です(50Ω負荷に対して5 V、高インピーダンス負荷では10 V)。
|Voffset| < Vmax - Vpp/2
指定されたオフセット電圧が有効ではない場合、指定された振幅で許容される最大DC電圧に調整されます。 また、リモート・インタフェースからは「Data out of range」エラーも生成されます。
- リモート・インタフェースとフロント・パネルの操作の違い:
- リモート・インタフェース: リモート・インタフェースから振幅を設定すると、オフセットが変更され、目的の振幅が得られます。測定器により、「Data out of range」エラー、または「Settings conflict」エラーのいずれかが生成されます。指定したオフセット電圧が無効な場合は、指定した振幅で許可される最大値に調整されます。
- フロント・パネル: フロント・パネルから振幅を設定してもオフセット設定は変更されません。指定した振幅が無効な場合は、現在のオフセットで許可される最大振幅までクリップされ、「Data out of range」エラーが生成されます。
- 出力終端による制限:振幅が10 Vppの場合に、出力終端設定を50Ωから「高インピーダンス」(OUTPut[1|2]:LOAD INF)に変更すると、表示される振幅は2倍の20 Vppになります。「高インピーダンス」から50Ωに変更すると、表示される振幅は半分になります。出力終端設定は、実際の出力電圧には影響を与えません。表示される値と、リモート・インタフェースからの問合せに対する値のみが変更されます。実際の出力電圧は、接続されている負荷によって異なります。
- 出力結合による制限:
- リモート操作とフロント・パネル操作の違い: 2つのチャネルが結合されている場合は、両方のチャネルの振幅限界値が確認されてから振幅の変更が実行されます。出力振幅の変更がいずれかのチャネルのLIMITを超過する場合、またはいずれかのチャネルの測定器の出力仕様を超過する場合:
- リモート・インタフェース: 測定器はまずオフセットを調整してから、必要に応じてそのチャネルの振幅を電圧限界値または仕様に準拠するように調整します。 測定器により、「Data out of range」エラー、または「Settings conflict」エラーのいずれかが生成されます。
- フロント・パネル: 測定器は現在のオフセット設定での最大値に振幅値をクリップします。「Data out of range」エラーが生成されます。
- 電圧単位の指定: VOLTageコマンドVOLT 3.0 VRMSの一部として単位を指定することにより、出力振幅をVpp、Vrms、またはdBmで設定できます。
後続のすべてのコマンドの出力単位を指定するにはVOLTage:UNITを使用します。
出力終端が高インピーダンスに設定されている場合は、出力振幅をdBmで指定することはできません。単位は自動的にVppに変換されます。
[SOURce[1|2]:]VOLTage:COUPle[:STATe] {ON|1|OFF|0}
[SOURce[1|2]:]VOLTage:COUPle[:STATe]?
2チャネル測定器の両方のチャネルで、同じ振幅、オフセット、範囲、負荷、および単位の維持をオンまたはオフにします。このコマンドは両方のチャネルに適用され、SOURceキーワードは無視されます。
{ON|1|OFF|0}、デフォルトはOFF |
0(OFF)または1(ON) |
電圧結合をオンにする: VOLT:COUP ON |
[SOURce[1|2]:]VOLTage:HIGH {<電圧>|MINimum|MAXimum|DEFault}
[SOURce[1|2]:]VOLTage:HIGH? [{MINimum|MAXimum}]
[SOURce[1|2]:]VOLTage:LOW {<電圧>|MINimum|MAXimum|DEFault}
[SOURce[1|2]:]VOLTage:LOW? [{MINimum|MAXimum}]
波形の高低電圧レベルを設定します。
50Ω負荷に対して±5 VDC。ただし、ハイがローより少なくとも1 mV大きいこと。デフォルト:ハイ+50 mV、ロー-50 mV。 |
+4.000000000000000E+00 |
高電圧レベルを4 Vに設定: VOLT:HIGH 4 |
- 振幅による制限: 電圧レベルは、以下の制限に従って正または負の値に設定できます。Vppは、選択された出力終端の最大p-p振幅(50Ω負荷に対して10 Vpp、またはオープン回路に対して20 Vpp)です。
Vhigh – Vlow£ Vpp (max) および Vhigh, Vlow£Vpp (max)/2
- リモート・インタフェースとフロント・パネルの操作の違い:
- リモート・インタフェース: リモート・インタフェースからハイ・レベルまたはロー・レベルを設定すると、必要な設定を行うために、ハイ・レベルまたはロー・レベルが変更される場合があります。この場合、「Data out of range」または「Settings conflict」エラーのいずれかが発生します。ハイ・レベルがロー・レベルより低く設定されると、測定器はロー・レベルをハイ・レベルより1 mV低く設定します。ハイ・レベルがロー・リミットまたは測定器の出力仕様より低く設定されると、ロー・レベルはロー・リミットまたは測定器の出力仕様に従った値に設定され、ハイ・レベルはロー・レベルより1 mV高く設定されます。ロー・レベルの設定が正しくない場合も、同じ一連の規則が適用されます。
- フロント・パネル: フロント・パネルでハイ・レベルまたはロー・レベルを設定すると、希望のレベルを設定するために、そのレベル設定がクリッピングされ、「Data out of range」エラーが生成されることがあります。フロント・パネルでは、ハイ・レベルをロー・レベルより低く設定することはできません。
- ハイ・レベルとロー・レベルを設定すると、波形の振幅とオフセットも設定されます。 例えば、ハイ・レベルを+2 V、ロー・レベルを-3 Vに設定した場合、結果の振幅は5 Vpp(オフセット電圧は-500 mV)になります。
- 出力終端による制限:振幅が10 Vppの場合に、出力終端設定を50Ωから「高インピーダンス」(OUTPut[1|2]:LOAD INF)に変更すると、表示される振幅は2倍の20 Vppになります。「高インピーダンス」から50Ωに変更すると、表示される振幅は半分になります。出力終端設定は、実際の出力電圧には影響を与えません。表示される値と、リモート・インタフェースからの問合せに対する値のみが変更されます。実際の出力電圧は、接続されている負荷によって異なります。
- VOLTage:LIMit:STATeによる制限:電圧リミットがオンの場合、レベル設定は指定された制限値(VOLTage:LIMit:HIGH、VOLTage:LIMit:LOW)と照合されます。その後、レベルの変更が実行されます。出力レベルを変更したことによってLIMIT設定を超える場合、レベルはLIMIT設定を超過しない、許容範囲の最大(または最小)値にクリップされ、「Settings conflict」エラーが生成されます。
- 出力結合による制限:2つのチャネルを結合した場合、両方のチャネルの制限を確認してから、レベルの変更が実行されます。出力レベルを変更したことによってLIMIT設定を超える場合、あるいはいずれかのチャネルにおける測定器の出力仕様を超える場合、レベルはLIMIT設定を超過しない、許容範囲の最大(または最小)値にクリップされ、「Settings conflict」エラーが生成されます。
- オフセット電圧に比例して波形を反転するには、OUTPut[1|2]:POLarityを使用します。
[SOURce[1|2]:]VOLTage:LIMit:HIGH {<電圧>|MINimum|MAXimum|DEFault}
[SOURce[1|2]:]VOLTage:LIMit:HIGH? [{MINimum|MAXimum}]
[SOURce[1|2]:]VOLTage:LIMit:LOW {<電圧>|MINimum|MAXimum|DEFault}
[SOURce[1|2]:]VOLTage:LIMit:LOW? {MINimum|MAXimum}?
出力電圧の上限値および下限値を設定します。
50Ω負荷に対して±5 VDC。ただし、ハイがローより少なくとも1 mV大きいこと。デフォルト:ハイ+50 mV、ロー-50 mV。
|
+5.0000000000000E+00 |
チャネル1の出力上限値を5 Vに設定: VOLT:LIMIT:HIGH 5.0 VOLT:LIMIT:STATE ON |
- 電圧限界値を有効にするには、VOLTage:LIMit:STATeをONにする必要があります。この場合、かつ上限が信号のハイ値に満たない、または下限が信号のロー値を超えている場合は、関連する限界値は信号のハイ値またはロー値にクリップされます。 測定器により、「Data out of range」エラー、または「Settings conflict」エラーのいずれかが生成されます。
- 上限には、DCオフセットおよびピーク振幅を含み、設定が許可された最高出力電圧が設定されます。これは、現在のOUTPUT[1|2]:LOAD設定を基準にして設定されます。 指定された負荷インピーダンスが測定器の出力に存在していない場合、出力リミットが出力コネクタの実際の電圧を表さないことがあります。例えば、出力インピーダンスが50Ωに設定されていても、実際の負荷が高インピーダンスの場合、実際の出力ピーク電圧は、最大で指定された電圧制限の2倍になります。
[SOURce[1|2]:]VOLTage:LIMit:STATe {ON|1|OFF|0}
[SOURce[1|2]:]VOLTage:LIMit:STATe?
出力振幅電圧限界値をオンまたはオフにします。
{ON|1|OFF|0}、デフォルトはOFF |
0(OFF)または1(ON) |
チャネル1に±2.5 Vの出力限界値を設定しオンにする: VOLT:LIM:HIGH 2.5 VOLT:LIM:LOW -2.5 VOLT:LIM:STAT ON |
- これがオンのときに振幅およびオフセットの現在の設定が限界値を超過した場合は、その限界値がオフになります。測定器は「Settings conflict」エラーを生成します。
- VOLTage:COUPle[:STATe]がオンでVOLTage:LIMit:STATeがオンの場合、両方のチャネルの電圧リミット設定は、両方のチャネルの最大振幅とオフセット電圧設定に影響を与えます。いずれかのチャネルのハイ・リミットとロー・リミットの最も制限が強い組み合わせが使用されます。
- 限界値はOUTPut[1|2]:LOADの現在の設定を基準にして設定されます。 指定された負荷インピーダンスが測定器の出力に存在していない場合、出力リミットが出力コネクタの実際の電圧を表さないことがあります。例えば、出力インピーダンスが50Ωに設定されていても、実際の負荷が高インピーダンスの場合、実際の出力ピーク電圧は、最大で指定された電圧制限の2倍になります。
[SOURce[1|2]:]VOLTage:OFFSet {<オフセット>|MINimum|MAXimum|DEFault}
[SOURce[1|2]:]VOLTage:OFFSet? [{MINimum|MAXimum}]
DCオフセット電圧を設定します。
50 Ω負荷に対して± 5 VDC、デフォルトは0 |
+1.0000000000000E-01 |
オフセット電圧を100 mVに設定: VOLT:OFFS 100 mV |
- オフセット電圧と出力振幅との関係を以下に示します。
|Voffset| < Vmax - Vpp/2
- リモート・インタフェースとフロント・パネルの操作の違い:
- リモート・インタフェース: リモート・インタフェースからオフセットを設定すると、振幅が変更され、目的のオフセット設定が得られます。 測定器により、「Data out of range」エラー、または「Settings conflict」エラーのいずれかが生成されます。
- フロント・パネル: フロント・パネルからオフセットを設定すると、振幅は変更されず、目的のオフセット設定を得られません。指定したオフセットが無効な場合は、現在の振幅で許可される最大オフセットまでクリップされ、「Data out of range」エラーが生成されます。
- 出力終端による制限: オフセット・レンジは、出力終端設定によって異なります。例えば、オフセットを100 mVDCに設定した後で、出力終端を50Ωから「高インピーダンス」に変更すると、フロント・パネルに表示されるオフセット電圧は、2倍の200 mVDCになります(エラーは生成されません)。「高インピーダンス」から50Ωに変更すると、表示されるオフセット電圧は半分になります。詳細については、「OUTPut[1|2]:LOAD」を参照してください。出力終端設定を変更しても、測定器の出力端子の電圧は変更されません。この変更では、フロント・パネルに表示される値と、リモート・インタフェースから問合せされる値のみが変更されます。測定器の出力端子の電圧は、測定器に接続されている負荷によって変わります。詳細については、「OUTPut[1|2]:LOAD」を参照してください。
- 出力結合による制限: 2つのチャネルが結合されている場合、オフセット設定の限界値が両方のチャネルで確認されてから、オフセットの変更が実行されます。オフセットの変更がLIMIT設定を超過する場合、またはいずれかのチャネルの測定器の出力仕様を超過する場合:
- リモート・インタフェース: まず、そのチャネルの振幅、および必要に応じてオフセットが電圧限界値または仕様に準拠するように調整されます。 測定器により、「Data out of range」エラー、または「Settings conflict」エラーのいずれかが生成されます。
- フロント・パネル: オフセット値は、LIMit設定を超過しない許容範囲の最大値にクリップされ、「Data out of range」エラーが生成されます。
[SOURce[1|2]:]VOLTage:RANGe:AUTO {OFF|0|ON|1|ONCE}
[SOURce[1|2]:]VOLTage:RANGe:AUTO?
すべての関数に対する電圧オートレンジ機能をオフまたはオンにします。ONCEを選択すると即時オートレンジが実行されてから、オートレンジ機能がOFFになります。
{OFF|0|ON|1|ONCE}、デフォルトはON |
0(OFF)または1(ON) |
電圧オートレンジ機能をOFFにする: VOLT:RANG:AUTO 0 |
- デフォルト・モードではオートレンジ機能はオンになっており、測定器は自動的に出力波形発生器およびアッテネータに最適な設定を選択します。
- オートレンジ機能がオフ(OFF)の場合は、測定器はその測定器の現在の利得およびアッテネータの設定を使用します。
- APPLyコマンドは、電圧オートレンジ設定をオーバライドし、自動的にオートレンジ機能をオン(ON)にします。
- オートレンジ機能をオフにすると、振幅変更中のアッテネータの切り替えによる一時的な中断を排除します。ただし、予測された範囲変更を下回って振幅が下がっている場合は、振幅およびオフセットの精度と分解能(および波形忠実度)が低下する可能性があります。
- VOLTage:COUPle[:STATe]がONの場合は、いずれかのチャネルでこの設定を変更すると両方のチャネルで設定が変更されます。
[SOURce[1|2]:]VOLTage:UNIT {VPP|VRMS|DBM}
[SOURce[1|2]:]VOLTage:UNIT?
出力振幅の単位を選択します。
{VPP|VRMS|DBM}、デフォルトはVPP |
VPP、VRMS、またはDBM |
出力振幅単位をVrmsに設定: VOLT:UNIT VRMS |
- オフセット電圧(VOLTage:OFFSet)、高レベル(VOLTage:HIGH)、または低レベル(VOLTage:LOW)に影響を及ぼしません。これらはすべてボルト単位を使用します。
- 測定器は、現在選択されている単位を、フロント・パネルとリモート・インタフェースの両方の操作に対して使用します。例えば、リモート・インタフェースから「VRMS」を選択した場合は(VOLTage:UNIT VRMS)、フロント・パネルの単位も「VRMS」と表示されます。
- このコマンドはVOLTage?の問合せ結果に適用されます。
- 出力終端が「高インピーダンス」に設定されている場合は振幅の出力単位をdBmに設定することはできません。 単位は自動的にVppに変換されます。
- 任意波形シーケンスはVrmsまたはdBmの単位を受け付けません。
- VOLTageコマンドの一部、またはAPPLyコマンドの1つとして単位を指定しない限り、VOLTage:UNITコマンドが優先されます。例えば、VOLTage:UNIT VRMSを選択し、APPLyコマンドに単位を含めなかった場合は、APPLyコマンドの<amplitude>が「Vrms」になります。